乳がん後の旅行|不安を安心に変える準備と計画のポイント
- ゴー パンきち
- 10月8日
- 読了時間: 6分

皆さんこんにちは。
10月に入り朝晩、過ごしやすくなってきました。 秋の本格的な観光シーズンも始まってきており、添乗員をしている私も慌ただしい日々を送っております。
乳がんを経験しちょっと遠くに旅行に行ってみたいけど、やはり体力面や旅行先でなにかあったら・・。 乳がんを経験して初めて旅行をされる方、まだ遠出に自信のない方も準備を少しの工夫する事で旅の不安は和らぎます。
今日は一般的な旅行計画に加えたポイントの紹介です。

【旅行前に行うべき準備は?】
まずは身体の安全を最優先に、以下の準備を行いましょう。
1. 主治医への相談(重要)
旅行計画を立てる前に、「まず主治医に相談してください」
これが最も大切なステップです。
相談すること
旅行の時期、期間、行き先(国内・海外)、移動手段(飛行機など)を伝え、旅行が可能か確認する。
旅行中の注意点(食事、運動、薬の服用など)について具体的なアドバイスをもらう。
必要な薬や、万が一の際に備えた頓服薬などを処方してもらう。
※旅行時はお薬手帳や保険証は必ず持参しましょう。お薬手帳は化学療法で使用した点滴の種類・実施クールの履歴が記載されている場合があり、旅先で受診した際に医療者に「この治療をしているんだ」と治療履歴の予測がつきます。又、薬や食物アレルギーなどをあらかじめ手帳に記載しておくと投与や処方される薬の判断に非常に役に立ちます。是非、お薬手帳の持参をおススメします。
最近はお薬手帳アプリを活用する方法もあります。
依頼すること(特に海外旅行の場合):
英文の診断書や治療内容証明書、薬剤証明書(処方箋の英訳)の作成をお願いしましょう。入国審査や現地での万一の受診時に非常に重要になります。
2. 旅行保険への加入
万が一の事態に備えて必ず加入しましょう。
ポイント
クレジットカード付帯の保険は、補償範囲が限定的な場合があるので、内容をよく確認し、必要であれば別途加入を検討しましょう。
3. 旅行先の医療機関を調べておく
「備えあれば憂いなし」です。万が一体調が悪くなった時に駆け込める病院を事前にリストアップしておくと、心の大きな安心材料になります。
海外の場合: 日本語が通じる病院や、海外旅行保険の提携病院を調べておくとスムーズです。外務省のウェブサイトで現地の医療事情を確認することもできます。

【旅行計画・行き先選びのポイント】
ご自身の体力を第一に考え、無理のないプランを立てることが大切です。旅行は楽しみな分、ついつい無理をしてしまい必要以上に体力を消耗してしまいます。
1. ゆとりあるスケジュールを組む
移動を少なく: 詰め込みすぎず、1日の訪問先は1〜2箇所に絞るなど、ゆったりとした日程を組みましょう。
休憩時間を確保: 途中でホテルに戻って休む時間や、カフェでゆっくりする時間を計画に盛り込みましょう。特に広大な広さをもつ観光地や施設などはネットに掲載されている園内マップや、入園時に手にするパンフレットなどで確認する事も一つの方法です。
滞在型の旅: 一つの都市やリゾートに数日間滞在するプランは、移動の負担が少なく、心身ともにリラックスしやすいです。
2. 体力に合った行き先・宿泊施設を選ぶ
気候の穏やかな場所: 寒暖差が激しい場所や、極端な暑さ・寒さの地域は、体に負担がかかることがあるため、なるべく避けましょう。
衛生状態の良い国・地域: 治療の影響で免疫力が低下している場合は特に、衛生環境の整った場所を選ぶと安心です。
アクセスの良い宿泊施設: 駅やバス停から近く、坂道が少ないなど、移動の負担が少ないホテルを選びましょう。エレベーターの有無も確認ポイントです。 坂道の有無や駅からの距離などは宿泊施設に、観光地の坂道や目安となる所要の観光時間などは各観光施設、自然のみの観光地(○○滝・○○山展望台など)はその土地の観
光協会などに問い合わせしてみましょう。
※私のブログに「ホテル選びのポイントと工夫」という記事も書いています。
【旅行中に特に気をつけたいこと】
1. リンパ浮腫のケア(手術でリンパ節郭清をされた方)
腕に負担をかけない工夫が大切です。
飛行機(気圧の変化)対策:
主治医に相談の上、弾性スリーブやストッキングを着用しましょう。
機内では、体を締め付ける服装を避け、こまめに水分補給をしましょう。
時々、腕や脚を軽く動かす運動(指を握ったり開いたり、足首を回すなど)を心がけましょう。
日常生活での注意:
重い荷物を長時間持たない: スーツケースはキャリーケースにし、リュックサックやショルダーバッグの重さにも注意しましょう。日頃からどの位の重さでどれ位荷物を持ち続けると疲れが出てくるか、散歩の時などにご自身で把握しておくのもいいですね。
虫刺され、日焼け、怪我を防ぐ: 長袖を羽織る、虫除けスプレーを使う、日焼け止めをこまめに塗るなどの対策をしましょう。
疲れた時は休息を:過度な疲労はリンパ浮腫を増悪させる時があります。疲れた時はこまめに休息をとる様に意識する事も大切です。
2. 全般的な体調管理
感染症対策: 手洗い、うがいを徹底し、人混みではマスクを着用すると安心です。
水分補給: のどが渇く前に、こまめに水分を摂りましょう。旅行中は楽しさに夢中になり水分補給を忘れがちになります。
服装の工夫: 着脱しやすく、体温調節がしやすい服装を心がけましょう。体を締め付けない、ゆったりとしたデザインのものがおすすめです。
紫外線対策: 日光の浴びすぎは体力を消耗します。帽子、サングラス、日焼け止めは必須アイテムです。
ワンポイント!
睡眠不足は乗り物酔いや体調不良の原因にもなります。旅行開始前から十分な睡眠を心がけてくださいね。
【旅の印象を強くする「体験」】
非日常の景色やその土地の食、ご自身の興味のある場所を訪ねる事は心身の癒しやその後の治療・日常生活の新たな目標や意欲の増進に繋がります。
旅行添乗員としてお客様と旅の同行をしながら気付いたのですが、旅行中にちょっとした「体験」をすると旅の思い出の印象が強くなります。
例えば、和歌山県では「梅酒or梅ジュース作り体験」、高知県では「土佐の手漉き和紙体験」その他、リース作りや焼き物の絵付けなど、全国にその土地の伝統や特産品を使用した体験が数多くあります。
体験された直後は勿論、リピーターのお客様から「あの時に作った物は今も大事に飾っています」「自分へのお土産になりました」などの話もよく伺います。
非日常の体験は旅の印象をより強くし、自分へのご褒美、体験出来た事がその後の生活への自信に繋がると感じています。私もツアー企画をする時は出来るだけ「体験する観光」を一つは取り入れる様にしています。
乳がんを経験後、体力に不安な方は30分以内で終える事が出来る体験が数多くあります。
遠出にまだ自信がない方はお住まいの近くに体験出来るものがないかどうか探してみるもの非日常を楽しむ一つの方法になるのではないでしょうか。
また、体力が回復してきた方は近年はカヌーやジップラインといったアクティブ体験もかなり増えてきました。
何よりも大切なのは、ご自身が「楽しみたい」という気持ちと、ご自身の体をいたわる気持ちのバランスです。特に治療中や治療後に初めて旅行に行かれる方は、完璧な計画を目指すよりも、「疲れたら休む」という選択肢を常に持っておくことが、旅を成功させる一番の秘訣です。
心からリフレッシュできる素敵な旅になりますよう、応援しています!

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